2009年3月12日木曜日

ミラーニューロン(09.03.12)

 脳科学の過去10年で最大の発見と言われ、ミラーニューロンと呼ばれる神経細胞が話題になっています。ミラーニューロンとは、他の人が何かやっているのを見た時に自分がやっているかのように活動するニューロン(神経細胞)です。
 科学者たちがアイスクリームを食べていたとき、それを見たサルの脳内に、あたかも自らが食べているように活動している神経細胞を発見したことが、この大発見の始まりだったようです。
 ミラーニューロンの働きで、他人の行動や体験を観察するだけで疑似体験することになるということです。つまり、「見て学ぶ」ことの意味が、ミラーニューロンの存在から脳科学的にも説明できることになります。

 「学ぶ」の語源は「真似る」といわれますが、真似るためには「よく観察をする」作業が必要です。つまり、学習にはミラーニューロンの働きが、関与するということになります。まさに、「習うこと」は「倣うこと」なのです。
 「似たもの同士」や「似たもの夫婦」という言葉がありますが、一緒にいると知らぬ間に似てくるのも、同一集団が同じような仕草をするのも、ミラーニューロンの影響と考えられているようです。人は、良くても悪くても、その環境へ適応することを示しており、人的な環境の重要性を再認識させるものでもあります。


脳 人が、喜んだり悲しんだりしている様子を見ているだけで、不思議とその本人と同じような気持ちになります。このような相手への共感もミラーニューロンの働きが関わっているようです。
 「他人の心を読み取る」という脳の大切な機能を支えているのではないかと推測され、互いに共感し、コミュニケーションを図っていくためには不可欠な細胞という点からも、ミラーニューロンが注目されています。