2009年4月10日金曜日

守・破・離(しゅ・は・り)(09.04.10)

 武道に取り組んでいた学生時代に「守・破・離」という言葉を知りました。物事を学び始めてから、独り立ちしていくまでの三つの段階をあらわしているのですが、当時は技術習得の教えとして武道の世界における特有の言葉であると理解していました。

守・破・離(しゅ・は・り)
 この言葉の出処が、600年前に能の世阿弥が「風姿花伝」(父観阿弥の秘伝を、子の世阿弥がまとめた能楽の聖典で「花伝書」ともいう)に記した芸術論であることを知ったのは大分後のことです。
 芸能でも、武道でも、スポーツ指導でも、どのようなものであれ、その技術を学び習得するまでの過程は、すべてこの「守・破・離」という概念で説明できそうです。
 「守」があって「破」が存在し、その先に「離」という到達点があります。当然のことながら「守」を飛び越しての「破」や「離」はあり得ません。
 応用や発展は基本の上に立つものであり、基本が大切であると説いていると同時に、自ら考え創造していくことの重要性も訴えているのでしょう。
 ちなみに、「初心忘るべからず」の出処も花伝書と聞けば、「なるほど」と頷けます。