2009年7月31日金曜日

メタボ & ロコモ(09.07.31)

 最近、ロコモ(=ロコモティブシンドローム)という言葉を聞くようになりました。ロコモは、2007年に日本整形外科学会(日整会)が提唱したもので、「運動器の機能不全により、要介護になるリスクが高い状態になること」と定義されています。
 運動器とは、立つ、歩く、手を上げるなど、あらゆる動作を担っている筋肉・関節・骨・腱・靭帯・神経等の総称で、日常生活をおくる上で欠くことのできない器官です。

 「メタボ」は脳卒中や心筋梗塞をはじめとする生活習慣病の予防、「ロコモ」は運動器に照準をあてた介護予防につながる概念です。
 ロコモについては、日整会による以下の5つの判定指標(ロコチェック)があり、一つでも当てはまると要注意だそうです。
腰痛の高齢者
*ロコチェック
●片足立ちで靴下がはけない
●家の中でつまづいたり、滑ったりする
●階段を上るのに手すりが必要
●青信号で横断歩道を渡りきれない
●15分続けて歩けない

 メタボとロコモ、それぞれ概念は異なりますが、運動不足が大きな要因となっている点で共通しています。
 また、ヒザや腰が痛くて十分な運動ができないこと(ロコモ)から、メタボに移行することもあるでしょうし、逆に、メタボ(過体重)が原因で、活動量が減少し、ロコモ(運動器の障害)に至ることも考えられるなど、両者は大いに関連しあっているといえるかもしれません。


メタボリックファミリー A.メタボでロコモ
B.ロコモではないがメタボ
C.メタボではないがロコモ
D.メタボでもロコモでもない

 二つのキーワードを基に4通りに分類してみました。多くの中高齢者が、
A~Cに該当するのではないでしょうか?

2009年7月11日土曜日

セロトニンと呼吸(09.07.11)

 最近、過激な行動が抑えらない、いわいる「キレる」状態から様々な悲惨な事件が発生していますが、東邦医大の有田秀穂教授は、脳内のセロトニン神経が弱っていることが「キレる」原因と訴えています。
 「ラットのセロトニン神経を破壊すると、マウスを殺して食べてしまった。セロトニンを補給すると過激な症状が消えた」という怖い動物実験も報告されています。
 セロトニン神経が弱ると、うつ病、パニック障害、摂食障害などの症状があらわれ、うつ病で自殺した人の脳を調べると神経伝達物質、セロトニンの濃度が一般の人より低いことも明らかになっています。

 ところで、このセロトニン神経は、毎日の生活の中で一定時間、意識的にリズム運動を繰り返すことによって鍛えられるそうです。呼吸はリズム運動の代表格ですが、無意識に行われる呼吸では強化はできず、強化するためには、意識して深く長く息を吐き、腹筋と横隔膜に負荷をかける腹式呼吸が効果的といいます。
 お腹を凹ませながら息を吐ききり、呼気を終えると自然に吸気が行われます。効果を得るためにはこの呼吸を、毎日30分繰り返し、約100日継続することで、セロトニン神経に構造的な変化があらわれ、高い活動レベルが維持されるそうです。
 リズム運動であり呼吸に負荷がかかる水泳は、理想的な運動かもしれません。ウォーキング、ジョギング、エアロビックエクササイズや、腹式呼吸を行う座禅や太極拳などもよさそうです。

 人生はオギャーという呼吸で始まり、息を引き取ることで終焉を迎えます。まさに、「息をする」ことが「生きる」ことといえるのでしょう。
 呼吸は心理状態とも深くかかわっています。泣いている時は、強く短く連続的に吸い、怒っているときは、強く短く連続的に吐きます。気持ちが落ち着いているときはゆっくりと長い呼吸をします。意識的にこのような呼吸をすると、副交感神経が優位になり心身がリラックスします。
 「長い息」が、「長生き」に通じるといいますが、呼吸の奥深さに、ため息が出ます。