2012年2月17日金曜日

似て非なる運動(12.02.17)


 もし、「行なったことがある筋トレ種目は?」というアンケートを実施すれば、1位にランクされるのは、おそらく「腹筋」ではないでしょうか。腹筋ほど多くの人が経験している種目はないかもしれません。

 写真1.2はいずれも「上体おこし」の腹筋運動を行なっているところです。二つの写真を比べると、動作フォームが少し違うことに気づきます。
写真1写真1 写真2写真2

 図1のように腹筋は肋骨の下部と恥骨をつないでいる筋肉なので、収縮すると筋肉が付着している端と端、つまり肋骨下部と恥骨が近づくことになり、胴体が丸くなります。写真1は、まさに腹筋が短縮し、上体を丸めながら上げています。


 一方、写真2では腹筋に力が入っていますが、筋肉は短縮しないで、等尺性の活動(静的筋活動)をしています。上体を上げるためにダイナミックに活動しているのは、図2で示した腸腰筋です。腸腰筋は大腿骨上部と骨盤・腰椎をつないでいる筋肉で股関節を曲げる作用をします。

 同じ「上体おこし」でも、写真1(図1)は腹筋、写真2(図2)では腸腰筋が主働筋として使われています。図2のように腹筋の弱い人が、腸腰筋を強く活動させると腰が反り過ぎて痛める危険性があります。

 同じような動作に見えても、実は“似て非なる運動”というケースが少なくありません。