2014年9月19日金曜日

姿勢教育としての水泳(14.09.19)



 水中を効率的に進むための姿勢を「けのび」といいます。
 初心者水泳では、水中の基本姿勢づくりを繰り返し練習します。抵抗の少ない真っ直ぐな姿勢で水中・水面を滑っていく動作であるこの「けのび」は、とても重要な基本練習です。
 「けのび」の次のステップでは、この姿勢を維持しながらバタ足〈キック〉で進む練習をします。さらに、手の動作、呼吸動作などへとステップアップしていきます。

 ところで、最近、体幹トレーニングが注目されていますが、水泳や水泳のキック動作では体幹部の筋肉がよく使われることをご存知でしょうか。水泳は固体との接触がなく不安定な浮遊位で手足を動かさなければならないため体幹部の安定性が求められます。それは、体軸(体幹)をコントロールして抵抗の少ない水中姿勢をつくるためにも必要なことです。

 初心者の段階から取り組む「けのび」や「けのびキック」は、水中姿勢トレーニングと表現することもできるでしょう。速くキレイに泳ぐための必要条件であり、中級クラスでも上級クラスでも泳ぎの上達には重要なポイントとなります。
 水中ではスピードの二乗に比例して抵抗が増大します。速く泳げば泳ぐほど抵抗が大きくなるということです。したがって競技水泳ではいかに抵抗を排除するのかが重要になります。水中姿勢のテクニックが勝敗に大きく影響するからです。このようなことからも競泳というのは「いかに抵抗の少ない姿勢をつくれるのかを競う競技である」という見方ができるかもしれません。

 前回のコラムは「子供のロコモ」がテーマでした。不良姿勢の子どもが増えていると感じている教員が、7割近くいるという報告もあります。
 子供を取り巻く環境や身体リスクの現状を認識しながら「姿勢教育」という観点からも、「子供の水泳」をとらえる必要があるのかもしれません。