2015年8月26日水曜日

動けるカラダが未来を支える


動物である人間は、動ける体 を持っています。立つ、座る、歩く、走る、しゃがむ、手を伸ばす等あたりまえの機能として日々使用しています。
 しかし、ひとたび、そのあたりまえの動作が損なわれると、生活は不自由で困難なものへと一変します。そしてこの時、初めて不自由なく動けることの「ありがたさ」を痛感することになります。

 誰もが年をとり、大なり小なり動きにくい体へと変わっていきます。しかし、実際には個人差が大きく、元気に活動し続ける人がいる一方で、部屋に閉じこもったり、寝たきりの生活を余儀なくされる人がいることも事実です。

「人の体は適度に使えば都合よく発達し、使わなければ使えない体へと退化していく」という事実があります。年を取ったから動けない体になるというより、年をとった意識が強くなることで体を動かさない生活へと変化する傾向があるのです。それこそが問題です。体を使わないと、動けない体へと変化するからです。
 三浦雄一郎さんは70歳を過ぎてから3回もエベレスト登頂に成功しました。地道にトレーニングを続け強い体をつくリ上げたことが大きな成功要因のひとつになったに違いありません。

ところで、ミドルの方には、もうひとつ大きな問題があります。それは、腰やヒザなどに痛みを抱える人がとても多いという事実です。40歳以上では6割以上の人がヒザの痛みや不安を抱えているという報告があります。
当然、痛みがあれば運動や活動そのものができなくなるので問題は深刻です。弱くなった体や動きにくくなった体を単純に運動で鍛えるという発想だけでは対応できないからです。

腰やヒザなどの痛みには様々な原因が考えられますが、痛くなるような体の使い方をしたことも影響している可能性があります。しかし、多くの場合、動作に原因が潜んでいることに気づくことは少なく、それ以外の方法で対応されることが多いかもしれません。
原因が体の使い方にあるならば、それに気づき、使い方を変える以外に対応方法はありません。また、日常の偏った体の使い方で体がゆがんでいいたり、ゆがんだ体で運動することでヒザや腰などを痛めてしまう可能性もあります。
クオリティ・オブ・ライフという言葉がありますが、いつまでも自由に好きなことを続けられることは幸せなことです。動ける体が未来を支えるという事実とともに、動ける体づくりにはちょっとしたコツがあることも知っていただければ幸いです。

2015年8月2日日曜日

死生観

 今年2月、出張先の大阪からの帰り、左目に異変。光がちらついたり、霞がかかったり。これが白内障か?と気持ちは少しのんびりしていた。ところが、3日目の朝、左目は完全に見えなくなっていた。これは異常事態、街の眼科医へ直行した。そもそもその一ヶ月前この医院で綺麗な目(眼底)と診断されたばかり。何が起こったのだ?

 眼科医の顔色が変わった。「左目の中心動脈が塞がっている!すぐに大学病院飛んで行って!」という大きな声に促された。
 一日中検査を行い、プラークによる左頚動脈の狭窄が見つかった。そのプラークが左目に飛んで動脈を塞いだことが判明。この時点での狭窄率は何と80%超。風前の灯ともいわれた。

 なんの前触れもなく、普通に生活していた自分に何が起こったのか?事態を受け入れることができなかった。仕事や家族のことばかりが気になった。
 緊急入院が決まった。発症後1ヶ月は、不安定なため手術が受けられない。それまで症状を安定させるため24時間体制での投薬・点滴が続いた。そして3月11日の手術が決まった。

 
 手術までの日々は恐怖だった。プラークが再度飛び、脳血管を塞げば大変な状況となる。手術中にプラークが飛ぶ可能性も。そんなことを考えながら過ごしていた。顔はいつも微笑んでいが、この時点では死を覚悟していた。葬儀は家族葬。海へ散骨して欲しいと家族にも伝えた。

 死を前に考えることは、「あの時、ああすればよかった、こうすればよかった」という後悔であることは、知識として知っていた。やはり自分の場合もそうだった。
 4時間の手術を終え目を覚ました。頭はぼんやりしていたが、どうやら生還したようだ。そして手術後10日で退院。

 人は偶然に生まれるが、死は必然。誰もが知ることだが、誰もがその実感なく生きている。けれども、その時ではもう遅いのだ。

死を考えることは、生を見つめること。

“後悔しない生き方をしたい”  これまでにはなかった強い思いが心に刻まれた。


   *左目の現状、視力はかなり低下したものの左目だけでも道を歩けるくらいに回復しています。