2009年6月13日土曜日

ブロイラー食いをしていませんか?(09.06.13)

 私たちは果たして、お腹が空いたという体からのサインで、食事をしているのでしょうか。もちろん、そういう場合もあるでしょうが、本能の脳からの空腹サインではなく、理性の脳による、「食事の時間だから食べよう」、あるいは「このタイミングで食べておく必要がある」などと理屈で考えて、体はそれほど欲していないにもかかわらず食事をしてしまうということはないでしょうか。
  朝食は大切といわれているから、食欲はなくても食べているという人はいませんか。また、満腹なのに、残すともったいないから食べるという行為も、体から発信されている食事終了のサインを無視したものといえるのかもしれません。

食べる  人間、ペット、家畜と養殖の動物だけが、腹が減ったという感覚を優先することなく、時間に合わせて食べています。このような食事の取り方を称して「ブロイラー食い」というそうです。
 さらには、味覚よりも、健康にいいものだからという情報を優先して食べることもあるでしょう。いずれの行為も、理性の脳による食行動であり、おいしく味わうという本来の食生活のあり方を忘れているような気がします。
 理性の脳による過剰な支配を抑え、本能の脳をもう少し解放してあげてはいかがでしょう。

2009年5月9日土曜日

フィットネスセッション2009(09.05.09)

 ゴルデンウィークの5月3日~5日の3日間、フィットネスソフトの国内最大イベント、第23回フィットネスセッションが、全国の指導者を対象に、東陽町のYMCAで開催されました。
 今回は「ゆるみ筋&こわばり筋のコンディショニング~動作性の向上を求めて」のテーマで3年ぶりに講師として参加させていただきました。
 50枚のスライドを使いながら、部分に負担をかけない楽な動作法、短時間で行える身体バランス改善アプローチなどをご紹介。50名の定員を超える皆様にご参加いただき、2時間のワークショップを無事に?終了することができました。
 遠隔地からインストラクターの方が、泊まりがけで参加されるケースも少なくないようですが、連休を利用して多くのセッションに参加できるこのイベントは、地域間の情報格差を解消するという役割をも担っているのでしょう。

  
  

2009年4月10日金曜日

守・破・離(しゅ・は・り)(09.04.10)

 武道に取り組んでいた学生時代に「守・破・離」という言葉を知りました。物事を学び始めてから、独り立ちしていくまでの三つの段階をあらわしているのですが、当時は技術習得の教えとして武道の世界における特有の言葉であると理解していました。

守・破・離(しゅ・は・り)
 この言葉の出処が、600年前に能の世阿弥が「風姿花伝」(父観阿弥の秘伝を、子の世阿弥がまとめた能楽の聖典で「花伝書」ともいう)に記した芸術論であることを知ったのは大分後のことです。
 芸能でも、武道でも、スポーツ指導でも、どのようなものであれ、その技術を学び習得するまでの過程は、すべてこの「守・破・離」という概念で説明できそうです。
 「守」があって「破」が存在し、その先に「離」という到達点があります。当然のことながら「守」を飛び越しての「破」や「離」はあり得ません。
 応用や発展は基本の上に立つものであり、基本が大切であると説いていると同時に、自ら考え創造していくことの重要性も訴えているのでしょう。
 ちなみに、「初心忘るべからず」の出処も花伝書と聞けば、「なるほど」と頷けます。

2009年3月12日木曜日

ミラーニューロン(09.03.12)

 脳科学の過去10年で最大の発見と言われ、ミラーニューロンと呼ばれる神経細胞が話題になっています。ミラーニューロンとは、他の人が何かやっているのを見た時に自分がやっているかのように活動するニューロン(神経細胞)です。
 科学者たちがアイスクリームを食べていたとき、それを見たサルの脳内に、あたかも自らが食べているように活動している神経細胞を発見したことが、この大発見の始まりだったようです。
 ミラーニューロンの働きで、他人の行動や体験を観察するだけで疑似体験することになるということです。つまり、「見て学ぶ」ことの意味が、ミラーニューロンの存在から脳科学的にも説明できることになります。

 「学ぶ」の語源は「真似る」といわれますが、真似るためには「よく観察をする」作業が必要です。つまり、学習にはミラーニューロンの働きが、関与するということになります。まさに、「習うこと」は「倣うこと」なのです。
 「似たもの同士」や「似たもの夫婦」という言葉がありますが、一緒にいると知らぬ間に似てくるのも、同一集団が同じような仕草をするのも、ミラーニューロンの影響と考えられているようです。人は、良くても悪くても、その環境へ適応することを示しており、人的な環境の重要性を再認識させるものでもあります。


脳 人が、喜んだり悲しんだりしている様子を見ているだけで、不思議とその本人と同じような気持ちになります。このような相手への共感もミラーニューロンの働きが関わっているようです。
 「他人の心を読み取る」という脳の大切な機能を支えているのではないかと推測され、互いに共感し、コミュニケーションを図っていくためには不可欠な細胞という点からも、ミラーニューロンが注目されています。

2009年2月10日火曜日

動作感覚を共有する(09.02.10)

 毎日、水泳指導に明け暮れていた頃のことを振り返ると、視覚情報に偏重していて、練習者がどのような感覚で泳いでいるのだろうかという視点が希薄でした。
 たとえば、成人対象のクロール指導時に、内側入水を修正しようと考え、「肩の延長線上に真っ直ぐ入水しましょう」と、何度声をかけても、フォームが改善されない可能性があります。

 「どんな感じで入水していますか?」と訊くと、「肩の延長線上に入水しています」という答えが返ってくるかもしれません。そうであれば、感覚的には真っ直ぐに入水しているわけですから、「真っ直ぐに」と指摘されても、本人には修正のしようがありません。
 本人の感覚をベースに考えるならば、「外側に入水しましょう」というアドバイスが功を奏するかもしれません。
(もちろん、体軸のブレが原因であったり、そのようなフォームになってしまう、その人特有の身体状況が影響していることも考えられるので、実際の対応はそれぞれのケースで異なります)


ロングスイム  指導言語に対して身体がどのように反応し、そのときの泳者の感覚はどうであったか、という確認作業は、スキル練習には大切なことだと思います。
 どのような言葉かけに練習者の身体が反応したのかを確認しながら、その言葉や表現法を整理し積み重ねていくことで結果を出せるコーチングへとつながっていくのではないでしょうか。
 水泳に限らず、動作感覚と実際の動作との間にズレがあることは珍しくありません。そのギャップを改善するためにも、指導者は動作時の感覚を練習者と共有(共感)することに意識を向けていく必要があるのでしょう。

2009年1月15日木曜日

セルフエフィカシー(09.01.15)

 難題に挑戦し成功したときに脳内快楽物質であるドーパミンがつくられ、行動が強化される(また同じ行動をしたくなる)。従って、できるかどうかわからないくらい難しい課題に挑戦しクリアしていくことが重要で、その成功により脳が喜び、強化行動がつくられるという脳科学者の本が最近、ベストセラーになりました。

 人が行動を起こすときには、大なり小なりハードルをクリアしていかなければならないというのはわかりますが、高いハードルを乗り越え続けられるのは、一部のエリートであり、万人に向けたメッセージとしては少し無理があるような気もします。
 行動を導く要素にセルフエフィカシー(自己効力感)という概念があります。「やればできるという見込み感」を表していますが、この自己効力感が強いほど新たな行動が実践される可能性が高いとされています。つまり、ハードルが高すぎてはセルフエフィカシーが低下するので行動が起こりにくくなるということです。


バランスボールでコアトレーニング  必要と思いながらも健康行動(身体活動、食習慣などライフスタイル改善)につながらない人が大勢います。エリート養成理論とは別に、セルフエフィカシーを高める条件づくり(ハードル設定)が大切なのでしょう。当然、小さなハードル越えを続ければ、大きな目標に到達することになります。