2010年6月6日日曜日

アダプテッドスポーツ(10.06.06)

 ルールや道具を障がいの種類や度合いに適合(adapt)させることによって、障がいのある人だけでなく、老若男女すべての人が楽しめるようなスポーツ活動をアダプテッドスポーツといいます。

 例えば、加齢で衰えた視力もメガネをかけると視力低下のハンディはなくなります。メガネはアダプテッド・エクイップメントであり、これにより低視力者と正常視力者が同条件となります。
水中運動

プールに入り首まで浸かると体重はわずか10%になります。低体力者、障がい者、高齢者も水中に入れば、陸上動作のハンディキャップを一気に軽くすることができます。これが、重力から解放される水中環境の大きな魅力です。
 まさに水中運動はアダプテッドエクササイズといえます。

 ※10.07.07:一部文章改変

2010年5月2日日曜日

年齢差別をご存知ですか?(10.05.02)

高齢者

「デイサービスセンターで職員が、利用者のことを『太郎さん』『花子ちゃん』と下の名前で呼んでいた。理由を聞くと、『だってかわいいから、つい親しみを込めて名前で呼びたくなった』という。(中略)
 医療現場でも、高齢者が杖をついたり車椅子に乗るようになると、赤ちゃん言葉で話しかけたり、敬語を使わず友達感覚の言葉で話しているなどの場面を見かける。・・・・」

 上の二つの例は、いずれも「エイジズムと社会福祉実践(鳥羽,2005)」という論文に掲載されたエイジズムの具体例です。エイジズムとは年齢差別のことで、年齢や高齢者に対する偏見や紋切り型の見方のことをいいます。
 日本では、まだよく知られていないようですが、アメリカではレイシズム(人種差別)、セクシズム(性差別)とともにエイジズム(年齢差別)が、三大差別の一つとして注目されているといいます。

 気がつかないまま差別行為をしている例を紹介しましたが、高齢者比率の高まっているスポーツクラブでも、起こり得る話です。若いインストラクターが友達言葉で、メンバーに声かけしているシーンは珍しくありませんが、とても違和感を覚えます。
 一人の成人した大人として接することは勿論のこと、年配者には、人生の先輩として敬意を言葉にも表し対応すべきであることはいうまでもないでしょう。

2010年4月1日木曜日

野生への回帰 (10.04.01)

 日本では、死因の6割以上を生活習慣病が占めています。ペットの動物が糖尿病を患うという話を聞きますが、自然界の動物には、メタボも生活習慣病もありません。
 現代の地球上でも、採集・狩猟生活をしている未開地域の原住民には生活習慣病は存在しないようです。


狩猟  アフリカのブッシュマンとロンドンの住民の血圧を比較したTruswellの興味深い報告(1972年)があります。ロンドンの住民は、加齢に伴い血圧が急上昇していますが、20~75歳までのブッシュマンの年代別血圧は、上が120mmhg前後、下は70mmhg前後で加齢に伴う血圧上昇がありません。
 人類の歴史の大半で、食を求める行為として身体活動(採取・狩猟)が存在していました。もちろん、健康づくりのための運動という概念もなく、飽食もなく、生活習慣病もなかった時代です。

 スポーツや運動ばかりではなく、散歩、家事、庭仕事、洗車など日常の活動すべてを含め、「身体活動量を高めよう」というのが、最近の健康づくり運動の考え方です。
 しかし、「病気予防のために、フィジカル・アクティビティを高めよう」と声高に叫んでも、病で倒れたり、大病の兆候や異変を感じるなど困った状況に陥らなければ、人はなかなか動こうとはしないものです。
 食を得るために活動が必要だったかつての人類のように、気がついたら運動していたという上手い仕掛けが、できないものでしょうか。

2010年2月28日日曜日

メディカル・アクアフィットネス(10.02.28)

 2月13日・14日、(社)日本スイミングクラブ協会認定メディカルアクアフィットネスインストラクター資格取得講習会の講義(2H)と実技(3H)の講師を担当しました。
 テーマは、“ 転倒・寝たきり予防 ”

   

 講義では、転倒しやすい身体的要因と予防・改善の考え方を示し、実技では、姿勢・ダイナミックアライメントのチェック、歩行動作改善のための水中PNF、膝痛者への水中アプローチなどを紹介させていただきました。

 今回は、参加者の中に、病院で高齢者からアスリートまでのリハを担当されている理学療法士のEさんがいらしたので、急遽アシスタントをお願いし、病院で日常的に実施している姿勢や関節可動域チェックのデモをお願いしました。Eさん、ありがとうございました。

 ところで、聖路加国際病院理事長で、98歳の現役医師として有名な日野原重明さんが、転ぶ練習をしていると聞いたことがあります。転倒予防に努めることで転倒のリスクは減少しますが、絶対に転ばないという保証はありません。
 そこで、万が一、転んだとしても寝たきりにつながる可能性の高い股関節骨折(大腿骨頸部骨折)などに至らないような“安全な転び方”を練習するという考え方につながるのでしょう。まさに、逆転の発想ですね。

2010年2月2日火曜日

原因不明の腰痛が85%(10.02.02)

 日本人の8割が腰痛経験者といわれますが、原因不明の腰痛が85%を占めるそうです。「腰痛は、画像や問診から病名がつけられるが、実は画像と原因が一致する例は少ない。したがって、漠然と腰痛症と診断されることも多い。原因が特定できる腰痛は15%未満と欧州の診療ガイドラインは明記している。腰痛はありふれた症状ながら実はよくわかっていない(2005年 日本腰痛学会・菊地臣一)」

 椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、腰椎分離症・すべり症、変形性脊椎症など病名のつけられる腰痛が15%で、その他の85%は原因不明ということです。腰痛で病院へ通っているが、快方へ向かわず、他の方法を模索する人も多く、受け入れ先としてさまざまな民間療法が存在しています。


デスクワーク  腰痛に限りませんが、運動器に痛みや違和感を抱える人は、特有の姿勢や動作のアンバランスを示していることが多いようです。このようなアンバランスをノーマルな状態に回復させるようなアプローチをして、姿勢や動作回復を導ければ、結果として痛みや違和感が消失あるいは緩和することも少なくありません。
 運動器に痛みを抱える成人の割合は4割を超えます(厚生労働省研究班)。整形外科的診断で異常がなく運動適応のケースが多いとすれば、運動指導者が活躍できる場は、ますます広がってきます。

2010年1月4日月曜日

心身一如(10.01.04)

 いつもパソコンを操作している人は、背中が丸くなり猫背になりやすくなります。前傾する頭部を首や肩の筋肉が支え続けるため、肩も凝ります。姿勢の乱れにはさまざまなパターンがありますが、いずれのケースでも筋肉や関節に負担をかけ、慢性痛や不快感、動作不良の原因となります。

デスクワーク
 姿勢は、日常の生活習慣動作や繰り返されるスポーツ動作などの影響を強く受けます。加齢や活動不足による姿勢保持筋力の低下も不良姿勢をつくります。筋肉は関節をまたいで骨に付着しているので、柔軟性がなく縮みっぱなしの筋肉は、骨を一方向に引っ張り続けます。そして、引っ張られ続ける筋肉は縮む力を失い、弱くなってしまいます。

 私はこれを、「ゆるみ筋&こわばり筋」と呼び、不良姿勢をつくる大きな原因の一つと考えています。どの筋肉がこわばり、どの筋肉がゆるみ、その姿勢や動作に影響を与えているのかがわかれば、対処法が見えてきます。

 姿勢や動作は心の状態も反映します。意気揚々としているときは胸を張り堂々と歩きますが、気分が沈んでいるときは、うつむきがちに背中を丸め、トボトボと歩きます。まさに心身一如です。
 反対に、丸くなった背中を伸ばすと気持ちもシャンとするような感覚があります。姿勢や動作そのものも、心の様相に影響与えているのかもしれません。
 無理のない自然体(良い姿勢)で、心と身体を整え、新たな年をスタートさせたいものです。