2014年7月25日金曜日

トリックモーション(14.07.25)


 今でも、週に1~2回ジムに通っています。
 学生時代はとにかく重い物を持ち上げようとしていました。振り返ると無茶なトレーニングでした。
 恐らくその影響だと思いますが、上部胸椎に慢性化した違和感が今でも残っています。ヒップを浮かせて行うようなベンチプレスは、昔から行ってはいませんでしたが、骨盤を右方向にローテーションさせるクセがありました。当時は全く気づいていなかったのですが、この動きのクセが胸椎の痛みに繋がったと考えています。注意してみなければ分かりづらい、比較的小さなトリックモーションだったためか、人から注意されたこともありませんでした。 気がついたのは「バランス」や「動作改善」に興味を持ち探求を始めた頃なので、その小さな?クセを数十年間放置していたことになります。「雨垂れ石を穿つ」という言葉がありますが、微細なダメージが蓄積していったのでしょう。


 小さなものから大きなものまで、トリックモーションはどこのジムでも横行しています。大きいものは分かりやすいですが、見逃されてしまう可能性が高いであろう小さなトリックモーションの方が、リスクがより大きいといえるのかもしれません。 
戦略的に行う場合もあるのですが、筋骨格系のバランスを崩し将来に禍根を残すような動作方法は戒めなければなりません。
 健康づくりの場で、健康を損ねるという不幸。
 これは何としても避けなければなりません。
*トリックモーション: ごまかし運動のこと。ある運動を行うとき、主役となる筋肉が弱かったり、関節に何らかの障害がある場合などで、サブの筋肉(補助筋、協同筋など)が過剰に働き、見かけ上は、同じような運動がなされる現象。 

2014年5月12日月曜日

シニアに大切なのは「きょうよう」と「きょういく」(14.05.12)


 教養ではなく「今日、用がある=きょうよう」、教育ではなく「今日、行くところがある=きょういく」というシャレなのですが、実はかなり本質に迫ったメッセージでもあります。
 心理学者 多湖輝さんの「100歳になっても脳を元気に動かす習慣術」という著書にある言葉で、「ボケないための頭の使い方を実に巧みに表現した言葉」と、昨年、天声人語でも紹介されました。
 用があり、いつも行くところがある人は、生活が活動的で体も頭も常に刺激を受けることになります。一方、用がなく、出かける機会もなくなり、家に閉じこもりがちな生活は、半ば寝たきりのような生活といえます。
 脳への刺激も身体活動量も極端に減少してしまい、その環境に適応するように心身は虚弱化に向かいます。まさに寝たきりの予備軍であり、リスクの高い状況となります。
 このように考えると、シニアには「きょうよう」と「きょういく」が大切であるということがよくわかります。


人は、周囲の関心を集めながら、人生の所々で重要な選択を繰り返します。そして、明確な目標を持ち、毎日を忙しく過ごしていた人にも、定年を境に生活が一変する時期が訪れます。
 それまでとは異なり、リタイア後のライフスタイルの選択について周りの人が関心を示すことは、恐らく少ないでしょう。
 しかし、ここは、その後の人生を左右する大きな岐路であり、この選択ほど、本人にとって重要なものはないのかもしれません。

2014年4月6日日曜日

足首をやわらかく使うと、ヒザ曲げ動作がラクになる(14.04.06)


 厚労省研究班の調査では、ヒザ痛に悩む中高齢者は全国で1800万人。 65歳以上では3人に1人の割合。ヒザ痛者が要介護に移行するリスクは、5.7倍と試算しています。
 虚弱化した高齢者に筋トレを勧め介護予防につなげようとする考えがありますが、ヒザに痛みがあれば筋トレどころではありません。腰痛も同様ですが、痛みの緩和や不自由な日常動作を改善することが優先されるべきでしょう。

 動作意識や動作法を少し変えるだけでヒザや腰への負担が軽減され、ラクに動作できるようになることが少なくありません。例えば、ヒザを曲げる時、ヒザだけが曲がることはありません。必ず、股関節と足首が同時に動きます。ヒザの曲げ伸ばし動作では、ヒザを意識するのではなく、股関節を意識しながら上手く使えるようになると、ヒザへの負担が軽くなります。


高齢者教室などで、股関節の使い方を説明するのですが、そもそも股関節そのものが意識しづらく動作習得が難しい場合もあります。そういうケースでは、股関節を意識するのではなく、足首をやわらかく使う方法を勧めます。
 具体的には左右の足裏全体がバランスよくフラットに接地した状態を維持しながらヒザの曲げ伸ばしを行います。そうすると足首・ヒザ・股関節がバランスよく連動した動作となるのでヒザ屈伸がラクになります。

 女性ではヒザを曲げるときに、ヒザが内側に入り過ぎる人を多く見かけます。これはヒザを痛めやすい動作なので修正したいところですが、ヒザの動きだけを意識しても直すことは難しいでしょう。
 このような動作をする人は足裏の内側に体重が乗っていますので、足裏感覚からアプローチする方法が有効かもしれません。内側・外側・爪先側・踵側のいずれにも偏ることなくバランスよく足裏全体でフラットに接地しながら動作することがポイントです。そうすることで、捩じれを防ぎヒザを良い位置にキープした動作をすることができます。

2014年2月13日木曜日

上を向いて歩こう(14.02.13)

 人の呼吸はその時の感情に影響を受け変化します。怒りのときは強い呼気の連続、泣いているときは強く連続した吸気を行っています。興奮を鎮めるための深呼吸は誰もが経験していると思いますが、呼吸や形を整えることが内面にも影響します。

 呼吸とおなじように、心の様子も顔や姿勢、仕草に現れます。例えば、サッカーの試合結果で選手が皆、肩を落として、うつむき加減といった写真が掲載されれば、たとえ後姿であっても、写真だけで「負けた」ことがわかります。

 話は変わりますが、中年以上の方で坂本九が歌った “上を向いて歩こう” という曲を知らない人はいないと思います。1963年の歌ですが、米国ビルボード誌で1位を記録した、いまだに「アジア圏では唯一の曲」だそうです。
 実はこの曲は、「涙がこぼれないように上を向いて歩こう」という悲しい詞なのですが、九ちゃんが笑顔で「上を向いて・・・」と語りかけるように歌ったイメージが強く、「元気を出して、前を向いて」と呼びかけているように聞こえます。
 
ところで、「しっかり前を向く」「視線を上げる」という行為は、「自信、決意」というような力強さをイメージさせます。一方で、下を向く仕草には、「落胆、失望」といったネガティブなイメージもあります。
 この曲の快挙から半世紀が過ぎたのですが、最近は、電車のなかでも、歩いているときでも、うつむいている人が急増しています。うつむき症候群とでも名付けましょうか。うつむいた視線の先にあるのは手の中の小さな画面。便利なツールですが、何事もやり過ぎは禁物です。
 前かがみの姿勢になるとココロまで沈んでしまいます。
 さぁー、視線を上げて。

2014年1月25日土曜日

あぶない! 目の前の高齢者が・・・(14.01.25)

 パソコンを持ち込みファミレスで仕事をしていました。すると突然、大きく腰が曲がった70代半ばくらいの男性が目に入りました。左手にコーヒーカップを持ち、4m先の自分の席に戻ろうしているところでした。
 上半身は床と平行になるほど曲がり、さらに右半身にはマヒがあり、自力で歩くのは無理としか思えない様子でした。それでも特有の足運びで5cmずつ、かろうじて前に進んでいます。左手のカップは傾き、今にもこぼれそうです。

 「あぶない!」と思った瞬間、中年の女性がものすごいスピードで席から飛び出し、助けようと男性に手を伸ばしました。ところが男性は女性に向かって一喝するような強い調子で「いいです!」と制止したのです。男性は不機嫌のようにも見えました。
 驚いた女性は自分の動きに急ブレーキをかけました。「どういうこと?」とでもいいたげな困惑した表情です。
 予想外の光景でした。親切な女性に支えられて安全に歩いていく姿を周りの誰もが予想していたことでしょう。男性はその女性にお礼をいうこともありませんでした。目をやることもなく、危なげな足取りで、時間をかけて自分の席に戻って行きました。誰もが絶対にこぼれると思ったコーヒーはこぼれませんでした。


人間の身体感覚はスゴイと思いました。周囲の目とは裏腹に、男性は粗相をせずに席に戻る100%の自信があったに違いありません。
 帰り際の駐車場で、また、その男性を見かけました。おぼつかない足取りで時間をかけながらクルマに向かっています。「まさか?」と思いましたが、運転席に乗り込み、あっという間に走り去っていきました。
 不自由なカラダであっても人の手を借りず、すべてのことを自力で行うという強い決意を持って暮らしているのでしょう。
 「支え」と「自立」ということについて考えさせられた日でした。

2013年12月21日土曜日

快というメッセージ(13.12.21)


 健康づくり運動に関する情報が世の中に溢れています。それを求める人の多さを反映しているということなのでしょうが、首をかしげるような情報も多く、玉石混淆の状況にあります。

 また、Aさんには適応でも、Bさんには禁忌というメソッドもあります。適度にやれば効果的でも、過剰に行えば害にもなります。さらに、強すぎても、弱すぎても効果的ではありません。・・・このように書くと「何を、どのようにすればいいの?」と、かえって混乱させてしまうかもしれません。 

 そこで私は、「自分にとって、いいものかどうかは自分のカラダに聴いてみてください」と伝えるようにしています。キーワードは「快」です。行ってみて「不快」なものは避ける。やり方次第で「快」になるならば、その方法で行う。心地よいのでもっと行いたいときは、繰り返す。カラダが繰り返しの要求をしていない場合は、やめ時と考える。・・・という具合に身体感覚を重視しながら行う方法を薦めています。ストレッチの方法をイメージするとわかりやすいかもしれません。

 理屈で考えて行うことも必要なのですが、カラダがいやがっている場合は行わない方が無難です。「食事の時間だから食べる」という行為は当たり前かもしれませんが、その時にカラダが欲しがっていないとすれば、おいしく食べることは不可能です。
 カラダの言い分に耳を傾けることは、幸せなライフスタイルの原点なのではないでしょうか。