2011年4月10日日曜日

あたりまえのこと(11.04.10)


腰のねじれ  ヒトは、この世に生れて1年かけて「立つ、歩く」技術を習得します。一端、この技術を身につけた後は、意識して行うことはなくなります。
 ほとんどの日常動作は無意識的に行われますが、思うように動かせない体になれば、当然、不自由な生活を強いられます。杖や車イス、あるいは人による介助など、依存度が大きくなるほど、生活行動も大きく制限されていくことになります。

 今回の大震災でもそうですが、安全な水・空気・食物、電気、家、家族や友人など、あたりまえに存在していたものを失ってしまった時、あたりまえの事や物がどれほど大切であったのかに、気づきます。

 自由に動き回れる体の機能が損なわれた時、「立ち、座り、歩く」という日常の動作が何不自由なく、自力でできることのありがたさを痛感することになるのでしょう。

 けれども悲しいかな、ヒトは、あたりまえの事や物が、あたりまえに存在し続ける限り、そのありがたさや尊さに気づかないもの。

 失って初めて気づく、日常のありがたさ。
 「時、既に遅し」とならないように戒めて行動したいもの。
 しかし、これが、とてつもなく難しい。

2011年3月10日木曜日

腰のねじれ(11.03.10)

 両脚を揃えてイスに座っているところを、上から見ると、右よりも左側のヒザの方が前方に出ていることがわかります。このような左右差は多くの人に見られます。


腰のねじれ  この左右の差は、いったい何を意味しているのでしょうか。左脚が長く、右脚が短いのでしょうか?写真の例では、左のヒザが前に出ていますが、これは、右側に比べ、左側の腰が前に出ていること、つまり、右回旋方向に腰が捻じれている可能性を示しています。

 写真のような例では、立って体をひねった時も、右に捻りやすく、左には捻りにくいという回旋動作の左右差が多く見られます。この原因としては、様々なことが考えられますが、日常の歩行動作との関係も大きいのではないかと思います。

 例えば右足の接地時間が左側より長い場合は、左足は右足よりも遠くへ運ばれることになり、骨盤も右回旋優位となり、右回旋方向への捻じりが強調されたアンバランスへとつながっていく可能性が考えられます。

【セミナーのお知らせ】

 4月1日より毎週金曜日10:30~12:00で全4回という日程で、「ゆるみ筋&こわばり筋のコンディショニング」をテーマにセミナーを行います。身体のバランスを調える“操体法”の実技を中心に行う予定です。操体法が初めてという方には特にお勧めです。

 会場:実践女子学園生涯学習センター(JR日野駅前)

 詳細については以下をご参照ください。
http://www.syogai.jissen.ac.jp/products/detail.php?product_id=277

2011年2月14日月曜日

姿勢づくりの方法 ~セルフチェック~(11.02.14)

 より良い姿勢をつくるためには、硬くなっている筋肉を柔らかくしたり、弱くなっている筋肉を強化するなどの取り組みが欠かせません。

 同時に、普段から姿勢を意識することも大切です。但し、「気をつけ」のように背中を緊張させるような姿勢はお勧めできません。あくまで、無理のない自然体が理想なので、頑張って姿勢を維持するという方法では長続きしません。
 一方で、意識して自然体をつくるというのも不自然なことです。あくまでも、プロセスとして無理のない範囲で意識化し、最終的には無意識でも、ニュートラルな(本来のあるべき)姿勢が確保できていることが理想でしょう。



  1.左右の足裏に同じように体重が乗っていますか。
 2.足裏にかかる重さは、つま先側や踵側に傾くことなく、
  足裏全体に乗っていますか。
 3.腰は立っていますか。
 4.腰の上に真っ直ぐ胴体が乗っていますか。
 5.胴体の上に頭が真っ直ぐ乗っていますか。
足裏
 このような内容を自問自答するだけでも
姿勢が変わってきます。

2011年1月13日木曜日

一側性トレーニングの効果(11.01.13)

 スクワットのように両脚同時の対称的な動きを両側性(りょうそくせい)動作といいます。一方、片脚で行うスクワットやボールを投げる、蹴るなど、片腕あるいは片脚による動きを一側性(いっそくせい)動作といいます。
 歩行動作では、片側の股関節の屈曲時には、もう一方は伸展動作を行っています。左右半身が交互に同様の動作を繰り返しますが、これも一側性動作です。
 平泳ぎやバタフライは両側性動作ですが、日常動作やスポーツ動作全般を見ると、一側性動作の方が多いことがわかります。
 スポーツジムでは、両側性動作を想定したトレーニングマシンを主体に設置されていることが多いようですが、スポーツ強化トレーニングでは、競技の特異的動作を意識した一側性トレーニングが盛んに行われています。

ダンベルトレーニング

 さて、NSCAジャーナル2009年9月号に、一側性動作は両側性動作よりも大きな力が発揮されるという報告があります。筋力発揮は、高速動作であるほど、一側性動作で優位に現れ、両側性動作では筋力発揮が低下するという検証データと、両側性トレーニングよりも一側性トレーニングの方が筋力や筋パワーの向上率が高いというデータが示されています。 
 一側性動作では、運動単位の動員率が高くなり、特に速筋線維の動員率が高くなるという研究報告もあります。

 遅筋よりも速筋の方が、加齢に伴う筋力低下が大きいことが知られていますが、高齢者の動作が緩慢であることや、速筋がより使われる階段の下り動作で転倒が多いことなども、加齢に伴う速筋線維の委縮が関係しているという見方があります。
 転倒しそうな局面から素早く姿勢を立て直すときには、速筋が活動することを考えても、高齢者のトレーニングで、速筋を鍛えることには、大きな意味があると考えられます。 (もちろん、姿勢保持や動作の安定を担う遅筋も大切であることはいうまでもありません)
 「一側性動作」というキワードは、高齢者の運動プログラムを考える上で大いに参考になるのではないでしょうか。

2010年12月6日月曜日

スキルそれともカラダの問題?(10.12.06)

 図1は、水泳の基本である“けのび姿勢”です。流線型で抵抗が小さくフラットな姿勢 です。

図1 けのび姿勢 
(図1)

 ところが、図2のように肩関節が硬い人は、腕を進行方向に真っ直ぐに伸ばすことが できません。

図2 肩が硬くて前方に腕を伸ばせない
(図2)

 このような人に、まっすぐ前方に腕を伸ばすことを強要すると、背中や腰を必要以上 に反らし(トリックモーション)、その代償動作によって、腕を前方に伸ばそうとしま す(図3)。
 このような無自覚的に起こるトリックモーションは、高齢者がラジオ体操で腕を頭上 に伸ばすときなどにも、よく見られます。肩の硬い人は、腕を上に伸ばすときに腰を大 きく反らします。

図3 無理に前方に伸ばそうとすると腰背部が過剰に緊張する 
(図3)

 このような姿勢では肩関節に大きな負荷がかかるばかりではなく、腰背部が過剰に緊 張するため、腰痛を起こす危険性があります。
 水泳ばかりでなく、ボールを投げたり打ったりする、腕を頭上に振り上げるスポーツ では、肩の硬さが原因で腰痛が起こったり、逆に股関節の硬さが原因で肩や肘を痛める ことがあります。
 このようなことからも動作を見るときは、部分にとらわれ過ぎないように注意する必 要があります。あくまでも体全体を見ることが基本であり、その上で部分を捉えるべきでしょう。

2010年11月1日月曜日

形が変わると中身も変わる(10.11.01)

 年齢とともに体力が低下し背中が丸くなる傾向がありますが、生活習慣の影響で姿勢が悪くなることも少なくありません。さらには、心の状態も姿勢や動作に表れます。意気揚々としている時は背筋も伸びて、大きな歩幅でサッサッと歩きます。しかし、元気がなくなると背中も丸くなり小さな歩幅でトボトボと歩くなど、動作までも元気がなくなってしまいます。

 横から見るとすぐわかりますが、図Bのように背中が丸くなると、図Aのように胴体の真上あるべき頭が図Bのように前方に飛び出してしまいます。
 ボーリングのボールほどの重さがある頭が、中心軸のラインから前方へ外れると、頭は前へ落下してしまいます。それを阻止するため、首や肩の筋肉が後方へ頭を引き戻そうと働き続けるので、これらの筋肉は常に緊張し、凝りや痛みを生じやすくなります。
 そうなれば、当然、気分も憂鬱になります。
(図)
(図)

人はおかしい時に笑いますが、おかしくなくても笑っていると、本当におかしくなって笑ってしまいます。
 形にこだわり過ぎてはいけないのでしょうが、不思議なことに、形を変えると、心がその状態に呼応するかのように変化します。
 笑顔をつくっていると優しい気持ちになったり、普段は活発な女性でも和服を着ると、途端におしとやかになってしまうなど、形の変化が心に影響を及ぼす例は、枚挙にいとまがありません。
 日本の伝統的な作法や芸能、武道など、いずれも型を重んじています。長い歴史の中で集積された多くの知恵がそこにはあるのでしょう。

 図Bの姿勢を調えるためには、土台である骨盤や体幹を図Aのように立て直すようなアプローチが必要になりますが、普段から姿勢を意識することも大切です。
 姿勢や身体を調えることは、不快な凝りや慢性的な痛みを和らげるとともに、心も軽快にしてくれます。