2011年2月14日月曜日

姿勢づくりの方法 ~セルフチェック~(11.02.14)

 より良い姿勢をつくるためには、硬くなっている筋肉を柔らかくしたり、弱くなっている筋肉を強化するなどの取り組みが欠かせません。

 同時に、普段から姿勢を意識することも大切です。但し、「気をつけ」のように背中を緊張させるような姿勢はお勧めできません。あくまで、無理のない自然体が理想なので、頑張って姿勢を維持するという方法では長続きしません。
 一方で、意識して自然体をつくるというのも不自然なことです。あくまでも、プロセスとして無理のない範囲で意識化し、最終的には無意識でも、ニュートラルな(本来のあるべき)姿勢が確保できていることが理想でしょう。



  1.左右の足裏に同じように体重が乗っていますか。
 2.足裏にかかる重さは、つま先側や踵側に傾くことなく、
  足裏全体に乗っていますか。
 3.腰は立っていますか。
 4.腰の上に真っ直ぐ胴体が乗っていますか。
 5.胴体の上に頭が真っ直ぐ乗っていますか。
足裏
 このような内容を自問自答するだけでも
姿勢が変わってきます。

2011年1月13日木曜日

一側性トレーニングの効果(11.01.13)

 スクワットのように両脚同時の対称的な動きを両側性(りょうそくせい)動作といいます。一方、片脚で行うスクワットやボールを投げる、蹴るなど、片腕あるいは片脚による動きを一側性(いっそくせい)動作といいます。
 歩行動作では、片側の股関節の屈曲時には、もう一方は伸展動作を行っています。左右半身が交互に同様の動作を繰り返しますが、これも一側性動作です。
 平泳ぎやバタフライは両側性動作ですが、日常動作やスポーツ動作全般を見ると、一側性動作の方が多いことがわかります。
 スポーツジムでは、両側性動作を想定したトレーニングマシンを主体に設置されていることが多いようですが、スポーツ強化トレーニングでは、競技の特異的動作を意識した一側性トレーニングが盛んに行われています。

ダンベルトレーニング

 さて、NSCAジャーナル2009年9月号に、一側性動作は両側性動作よりも大きな力が発揮されるという報告があります。筋力発揮は、高速動作であるほど、一側性動作で優位に現れ、両側性動作では筋力発揮が低下するという検証データと、両側性トレーニングよりも一側性トレーニングの方が筋力や筋パワーの向上率が高いというデータが示されています。 
 一側性動作では、運動単位の動員率が高くなり、特に速筋線維の動員率が高くなるという研究報告もあります。

 遅筋よりも速筋の方が、加齢に伴う筋力低下が大きいことが知られていますが、高齢者の動作が緩慢であることや、速筋がより使われる階段の下り動作で転倒が多いことなども、加齢に伴う速筋線維の委縮が関係しているという見方があります。
 転倒しそうな局面から素早く姿勢を立て直すときには、速筋が活動することを考えても、高齢者のトレーニングで、速筋を鍛えることには、大きな意味があると考えられます。 (もちろん、姿勢保持や動作の安定を担う遅筋も大切であることはいうまでもありません)
 「一側性動作」というキワードは、高齢者の運動プログラムを考える上で大いに参考になるのではないでしょうか。

2010年12月6日月曜日

スキルそれともカラダの問題?(10.12.06)

 図1は、水泳の基本である“けのび姿勢”です。流線型で抵抗が小さくフラットな姿勢 です。

図1 けのび姿勢 
(図1)

 ところが、図2のように肩関節が硬い人は、腕を進行方向に真っ直ぐに伸ばすことが できません。

図2 肩が硬くて前方に腕を伸ばせない
(図2)

 このような人に、まっすぐ前方に腕を伸ばすことを強要すると、背中や腰を必要以上 に反らし(トリックモーション)、その代償動作によって、腕を前方に伸ばそうとしま す(図3)。
 このような無自覚的に起こるトリックモーションは、高齢者がラジオ体操で腕を頭上 に伸ばすときなどにも、よく見られます。肩の硬い人は、腕を上に伸ばすときに腰を大 きく反らします。

図3 無理に前方に伸ばそうとすると腰背部が過剰に緊張する 
(図3)

 このような姿勢では肩関節に大きな負荷がかかるばかりではなく、腰背部が過剰に緊 張するため、腰痛を起こす危険性があります。
 水泳ばかりでなく、ボールを投げたり打ったりする、腕を頭上に振り上げるスポーツ では、肩の硬さが原因で腰痛が起こったり、逆に股関節の硬さが原因で肩や肘を痛める ことがあります。
 このようなことからも動作を見るときは、部分にとらわれ過ぎないように注意する必 要があります。あくまでも体全体を見ることが基本であり、その上で部分を捉えるべきでしょう。

2010年11月1日月曜日

形が変わると中身も変わる(10.11.01)

 年齢とともに体力が低下し背中が丸くなる傾向がありますが、生活習慣の影響で姿勢が悪くなることも少なくありません。さらには、心の状態も姿勢や動作に表れます。意気揚々としている時は背筋も伸びて、大きな歩幅でサッサッと歩きます。しかし、元気がなくなると背中も丸くなり小さな歩幅でトボトボと歩くなど、動作までも元気がなくなってしまいます。

 横から見るとすぐわかりますが、図Bのように背中が丸くなると、図Aのように胴体の真上あるべき頭が図Bのように前方に飛び出してしまいます。
 ボーリングのボールほどの重さがある頭が、中心軸のラインから前方へ外れると、頭は前へ落下してしまいます。それを阻止するため、首や肩の筋肉が後方へ頭を引き戻そうと働き続けるので、これらの筋肉は常に緊張し、凝りや痛みを生じやすくなります。
 そうなれば、当然、気分も憂鬱になります。
(図)
(図)

人はおかしい時に笑いますが、おかしくなくても笑っていると、本当におかしくなって笑ってしまいます。
 形にこだわり過ぎてはいけないのでしょうが、不思議なことに、形を変えると、心がその状態に呼応するかのように変化します。
 笑顔をつくっていると優しい気持ちになったり、普段は活発な女性でも和服を着ると、途端におしとやかになってしまうなど、形の変化が心に影響を及ぼす例は、枚挙にいとまがありません。
 日本の伝統的な作法や芸能、武道など、いずれも型を重んじています。長い歴史の中で集積された多くの知恵がそこにはあるのでしょう。

 図Bの姿勢を調えるためには、土台である骨盤や体幹を図Aのように立て直すようなアプローチが必要になりますが、普段から姿勢を意識することも大切です。
 姿勢や身体を調えることは、不快な凝りや慢性的な痛みを和らげるとともに、心も軽快にしてくれます。

2010年10月4日月曜日

科学的理論の限界(10.10.04)


タイム かなり昔のことですが、競泳男子100m自由形の限界は50秒であるという、某科学者の実験データーに基づく主張がTVや新聞で紹介されたことがあります。しかし、それから間もなくして開催されたモントリオール五輪(1976年)の100m自由形決勝では、アメリカのジム・モンゴメリーが50秒の壁を破り、49秒99という記録を出して優勝しました。
 前出の科学者の説からしても、これが人類の限界かとも思われましたが、その後も記録は短縮されていくことになります。1985年には、マット・ビヨンディが49秒の壁を破り、2000年にはピーター・ファンデンホーヘンバンドが48秒の壁を破る47秒84という記録を打ち立てています。ちなみに、現在の世界記録はブラジルのシエロフィーリョの46秒91(2010年2月26日現在)。
 振り返れば、50秒限界説を唱えた科学者の論拠は何だったのかということにもなりますが、このようなことは珍しいことではないのでしょう。
 私たちは、得てして科学的理論というようなものを目の前に突き付けられると、水戸黄門の印籠のように無条件でひれ伏してしまうようなところがあります。
 科学は発展への拠り所になることは間違いありませんが、科学的知見にも優劣のレベルがあり、研究デザインや考察には限界があることも認識しておく必要があるでしょう。

2010年9月2日木曜日

親が死んでも食休み(10.09.02)

  “腹がへっては戦ができぬ” という言葉があります。空腹では力が出ないので、活動前には食事をとるべきという意味です。一方で、“親が死んでも食休み”という言い伝えもあります。消化器官に負担をかけないように、食後は休むことが重要であると訴えています。 食事・活動・休息の順番について、前者は食事→活動、後者は食事→休息とそれぞれ正反対の主張をしていることになります。

 農耕時代に現れた支配者に対して、働かされる方の被支配者は“腹がへっては戦ができぬ”と食事を要求し抵抗します。食事をとると眠くなるので、支配者は“食べてすぐ寝ると牛になる”とたしなめ、労働強化をしたという説があります。 食後は副交感神経が優位になることを考えれば、生理学的には“親が死んでも食休み”ということになりますが、空腹で低血糖状態になれば力が出せないということもあるでしょう。


食事  このようなことを考えると、栄養素やカロリーについての情報は多いのですが、それを食す時の心身の状態と栄養吸収との関係や、食事・活動・休息の順番やタイミングに関する情報がとても少ないことが気になります。

 食べて直ぐに活動したり、精神的ストレスにさらされるような状況と、楽しく食べて、食後、充分にリラックスできる状況では、同じ内容の食事であっても栄養の吸収は大きく異なるはずです。
 口に入る前のカロリーや栄養素ばかりに気をとられ過ぎると、大切なことを見失ってしまうかもしれません。