2024年12月5日木曜日

足を前に出しても、カラダは前に進まない

 多くの人は足を前に運び歩いている。言い方を変えれば、足を前に出すことで歩行動作が行われると、信じている。しかし実際は,足を前に出す動作ではなく、足を後方へ送り出す動作が動力となり前方に進んでいる。

このことは水泳のクロール動作と似ている。クロールは前方に伸ばした手と腕を使い、後方へ押し出すことで多くの推進力を得ている、かき終わった手と腕は空中で前方に運ばれるが、このリカバリー動作で推進している訳ではない。ストロークとリカバリーを左右交互に繰り返すが、多くの推進力はストロークから生まれる。このストロークが歩行動作における、足の後方送り出し動作と考えるとわかりやすいかも知れない。

歩行動作は無意識で行われる習慣動作であるが、動力となっている後方送り出し動作を意識して歩くと歩行が驚く程楽になる。楽に速く歩くこともできる。

この歩法のポイントは、後方に送った足の離地の直前に踵(足裏後部)で地面を押す(踏む)ことである。実技講座の経験からもこの部分の加減が難しいと感じる人が多いようである。そして、この動作を習得すると、歩行時の姿勢改善につながるというのが最大のメリットかもしれない。

前かがみで歩いている人は、常につま先側に体重を乗せている。立位姿勢から少し体を前に傾けるだけでも、つま先側に体重が乗っていることに気づく。毎朝行っている洗顔姿勢や繰り返される中腰姿勢も同様につま先体重でふくらはぎを過剰に緊張させている。そしてつま先側に体重をかけた歩行。相関して生じる猫背姿勢は骨盤後傾からの、股関節(大腿骨)外旋→内反膝→変形性膝関節症へとつながる可能性さえ想起させる。

室内温水プールを使用する習慣をお持ちの方は、試していただきたい。プール内での前方歩行動作では水の抵抗が大きく歩きにくい。おそらくこの時つま先側で後ろに押していると思われるが、足裏後部(踵)で後ろに押せば、途端に楽に歩くことができる。この感覚は陸上歩行の後方送り出し動作に似ているので参考になるかもしれない。

毎日繰り返される歩行。楽に行えるなら、それに越したことはない。






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