2008年8月22日金曜日

運動六分に腹八分 (08.08.22)

 熱戦を繰り広げた北京オリンピックもあと数日で終幕を迎えようとしています。それにしても、中国選手の登場時にあらゆる会場で沸き起こった「加油(ジャーヨ)」の大合唱はすさまじいものでした。
 中国語の「加油」は「頑張れ」を意味しますが、この「頑張って」という言葉は、コミュニケーションツールのように、日本でも日常の様々な場面で使われています。
   スポーツクラブなどでもよく聞く言葉です。インストラクターがクラスのムードを高めていくときに、自然の流れの中で使われる場合もあるでしょうが、この言葉の使い方には注意が必要です。
 中高年者では、運動は全力で行うものであるという意識が自然に働き、頑張り過ぎてしまう人も少なくありません。結果的に「もっと頑張れ」と煽ってしまうことになれば、外傷・障害の発生リスクを高めることになります。
 アスリートでなければ、運動は気持ちよく行う方が効果的です。健康スポーツは、苦しみながらやる必要はありません。そもそも、歯を食いしばりながら頑張り続けるプログラムでは長続きしないでしょう。  腹八分という言葉がありますが、運動強度は6割で十分な効果があります。
 「運動六分に腹八分!」何事も「過ぎたるは及ばざるが如し」ということです。
 運動習慣を持つことは重要ですが、運動を頑張り過ぎないことも大切です。

2008年7月17日木曜日

ゆるみ筋&こわばり筋 (08.07.17)


 6月に「ゆるみ筋&こわばり筋のコンディショニング」という長いタイトルの著書を刊行しました。出版社(道和書院)から、売れ行き好調と聞かされホッとしているところです。  実は、この本は、執筆よりも、タイトル決定に至るまでに、より多くの時間を要しました。

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 ・・・身体にとって不都合な筋の状態を「ゆるみ筋」と「こわばり筋」という二つの言葉を手がかりに表現してみることにしました。敢えて難解な言葉の使用を避け、平易な言葉でシンプルに説明することで、わかりやすさへの道が、拓けてくるのではないかと考えたからです。
 わかりやすいキーワードであるがために、「こわばり」はほぐし、「ゆるみ」は締めなおす(強化する)という対応法へのイメージ化へ、スムーズにつながるのではないかと、言葉の持つメッセージ力に期待しています。・・・・・
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 前書きからの抜粋ですが、専門家が好む難解な専門用語を使った途端、言葉そのものが高いハードルとなり、肝心な内容の普及を妨げる可能性があるのではないか、そんなことを延々と考えながらこのタイトルに行き着きました。
 幸いにも「タイトルが面白い」と同じくらい、「内容がわかり易い」という多くの声をいただいています。
 身体パフォーマンスの向上、慢性痛の予防・緩和を目指すヘルス・フィットネス指導者、スポーツ指導者のお役に立てればと願っています。

 
  
  7月13日、新宿スポーツセンターで開催された、日本スイミングクラブ協会関東支部主催 指導力向上セミナー「ゆるみ筋&こわばり筋のコンディショニング」の模様

2008年6月15日日曜日

メタボで人が動く!? (08.06.15)

 6月4日、(社)日本スイミングクラブ協会関東支部主催の経営者セミナーで、「特定保健指導とクラブビジネス」の演題にてスピーカーを務めました。
 医療制度改革を非難する声や、国民皆保険制度の崩壊を危ぶむ声も聞こえてきますが、国は、「健康保険は簡単には使わせない」、「病気予防・健康管理は自己責任で」という方向に強く舵を切っているようにみえます。
 一次予防は理想的ですが、疾病に向かう機能変化の段階であっても、「痛みもない」、「困ってもいない」状況では予防のための行動をとる人は多くありません。しかし、これからは少し変わってくるのかもしれません。

 

2008年5月16日金曜日

中年肥えやすく、記憶保ちがたし (08.05.16)

 「身体は適度に使えば強化され、使わなければ脆弱化する」というトレーニングの原則があります。加齢に伴い体力が低下していくことは万人が認めることですが、虚弱高齢者が存在する一方で、若者も真似できないほどの体力・気力を保持する高齢者が存在することも事実です。
 現在エベレスト登頂に挑戦中の三浦雄一郎氏は75歳。96歳の現役医師、日野原重明氏の活躍も広く知られています。
 加齢に伴い活動量が減少すると、負荷の小さな環境に身体が適応することで体力が低下していきます。活動体力が低下することでますます不活発になり、虚弱化を進行させるという側面を見逃すことはできません。
 頭と身体を上手に刺激し続け、生きがいを探し、人生を楽しむという姿勢を持ち続けている人は、老いてますます元気ということなのでしょう。

 昨年11月、日本認知症学会と東京都老人総合研究所主催の「認知症はここまで治せる!防げる!」という公開講座に参加しました。関心の高さを表すように一階席も二階席も満員。
 「中年肥えやすく、記憶保ちがたし」というフレーズで、場内の笑いを誘ったのが群馬大医学部の山口春保教授。肉より魚と野菜を食べ、赤ワインを少量飲んで、人と楽しく交わり、大いに笑って、週に2回は運動で汗をかき、短時間の昼寝をし、前向きに生きることが脳老化を防ぐ秘訣とまとめました。
 週2回の運動は、「楽しくない」とか「辛い運動」ではダメで、「楽しく行なわなければ効果がない」というマウスの実験結果をベースにした話には説得力がありました。
 運動実践者にとっては、耳を傾けるべき貴重な情報といえそうです。

2008年4月5日土曜日

身体は心地よさを求めている (08.04.15)


①何を行うのか(種目)
②どのくらいの強さで行うのか(強度)
③どのくらいの時間を行うのか(時間)
④1週間に何回行うのか(頻度)

 これらは、運動処方を行う際に考慮すべき4つの要素です。フィットネス指導者であれば、誰もが知っていることですが、スポーツクラブでトレーニングしながら周りを観察していると、意外に適切な運動強度で実施している人は少ないように思えます。
 ストレッチングなどはいい例で、顔をゆがませ、歯を食いしばりながら行っている人もめずらしくありません。スタジオで行うエアロビックエクササイズも、かつては心拍数をチェックしながら行っていましたが、今はどのような強度管理をしているのでしょうか。
 インストラクターの掛け声に呼応して、必死に限界に挑戦しているようなシーンを見かけることもあります。
 運動強度は個人の体力に合わせて設定するものなので、激しく見えてもその人にとっては適切な強度であるかもしれないし、軽い運動に見えても、ある人にとっては強すぎることもあります。
 つまり、見た目の強度による判断は難しいということであり、運動実施者が適切な強度管理(自己管理)が行えるようなインストラクションの重要性を物語っているともいえるでしょう。
 健康づくり運動は気持ちよく感じる程度の強度で十分な効果があります。
 ベストの強度を知っている身体からの声に、もう少し耳を傾けてみてはいかがでしょう。
 身体は心地よさを求めているのですから。

※08.09.19:内容改変

2008年3月17日月曜日

子ども時代の運動習慣がもたらすもの (08.03.17)

 デンマークの世界的な運動生理学者ベン・サルチン博士が、運動習慣と心臓循環器系の死亡率の関係について、次のような報告をしています。

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「子どもの時からずっと運動をしていないグループ」の死亡率を1.00とした場合、「子どもの時から現在も運動を継続しているグループ」は0.52と約半分の死亡率になっている。「子どもの頃には運動をしておらず、大人になってから運動を始めたグループ」の死亡率は0.66と運動開始後4年で、その値が、3割以上低下している。この値は、「運動継続してきたグループ」と比べると高いが、4年間活動的な生活を続けただけで、死亡率を3割から4割下げることができるということを示している。
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子ども時代の運動習慣  大人になってからの運動習慣でも、死亡率を大幅に下げるという事実には大いに注目すべきでしょう。
 しかし一方で、サルチン博士は、子どもの時に活動的であると、大人になってからも活動的な場合が多く、子供の時に非活動的であると大人になってからも非活動的な生活スタイルになるケースが多いというデータを示し、子ども時代に生き生きとした活動的な生活を送ることの重要性を訴えています。
 なぜならば、子ども時代の活動的な生活習慣は、その時期を健康に過ごすというばかりではなく、生涯にわたる健康づくりに大きな影響を及ぼすことになるからです。

(参考文献:子どものからだと心・連絡会議編著「子どもの世紀ヘのプレゼントより」ブックハウスHD、2000年)