最初は訴えの内容が把握できなかったのですが、「こういう内容なら申し込みをしなかった」というのです。よくお聞きすると「片方の足は膝から下を失っているので、足裏感覚から・・・という内容では参加しようがない」とおっしゃるのです。しかし、講師として、開始直前のこの状況では返す言葉もなく「無理をなさらずできることだけ行ってみてください」と声をかけるのが精いっぱいでした。
間もなく実技を多く取り入れた授業が始まりましたが、その方のことが気になって仕方ありませんでした。皆さんが体を動かしているタイミングをみて「イスに座っている時は坐骨が足裏になりますよ」「寝ている時は背中全体が足裏です」「体全体のつながりを意識しがら動いて」などと、何度かその方の近くに行き、囁きました。
90分を終えると、その方が私の方へ近づいてくるのがわかりましたが、私の前には数名の方が質問のために並んでいたため、話しかけるのをあきらめたようでした。その後、授業を支援して下さった先生から「その方は感謝の気持ちを伝えたかったようです」と聞かされました。ご自身でも重要な気づきがあったようです。
「良かった」と思いました。同時に、感覚をベースに動作を再構築していくメソッドに、あらたな可能性を感じました。それは私にとっても、貴重な学びでした。
0 件のコメント:
コメントを投稿