筋肉は関節を跨いで骨と骨をつないでおり、筋収縮により関節を支点に骨が動く。これが動作である。通常、左右動作、前後動作など日常動作には偏りがあるのが普通であり、体はその偏った使用状況に適応する。よく使う筋肉は強くなり、あまり使わない筋肉は弱化する。大なり小なり、「強い、弱い、硬い、柔らかい」といった筋肉が混在するが、その偏りに応じて、筋骨格系のアンバランスが形成される。
国民病である「腰痛、ひざ痛、肩こり」の多くにこの筋肉と骨格のアンバランスが影響している可能性が考えられる。中村好男早大教授がエッセイの中で「生活習慣・病」という言葉を用いている。習慣の後ろに「・」をつけたのだ。この「・」により見慣れた「生活習慣病」という文言への印象が大きく違ってくる。「生活習慣」と「病」がそれぞれクローズアップされ、目にした人に強く訴えかけてくるように感じる。
「生活習慣・病」の代表はガン、心臓疾患、脳血管障害であり、日本においては全死因の60%が、この病で亡くなっている。比較するのは気が引けるがコロナ死の1600人に対して生活習慣病死は年間約70万人(平成26年実績)である。
ある人は生活習慣病を「緩慢なる自殺行為」と称した。自殺という表現は言いすぎかもしれないが。無知であるが故の病であり、意識や知識、習慣を変えることで予防できるなら、水泳コーチなど運動インストラクターもライフスタイルアドバイザーとして仕事に向き合う側面を持つことにも意義があるだろう。
さらに整形外科的疾患の多くも日常生活習慣動作が影響している可能性がある。長年の動作習慣で筋骨格系にヒズミが生じることで、慢性的な痛みへと繋がることも考えられる。このような運動器のトラブルも「生活習慣・病」とらえることができるのではないだろうか。
このような「生活習慣・病」に対しては水中運動、水中アプローチの大いなる可能性を感じる。当然のこととして陸上で機能する体をつくるために陸上での専門的なアプローチも欠かせない。 水中と陸上という異なる環境のメリットを生かし(水陸で対応できる、あるいは水中と陸上を組み合わせた)指導技術を持つコーチ・インストラクター(ハイブリッド・アクアトレーナー)がフィットネスの世界で活躍する日が来ないものだろうか。
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