2013年11月3日日曜日

授業直前のハプニング(13.11.03)

 某生涯学習講座で講師をしたときの話です。複数の講師によるオムニバス形式で、私は3コマを担当しました。その日は「足裏感覚からバランスを創る」というテーマを掲げていたのですが、教室に入った途端、一人の受講生から抗議を受けました。これから始まる矢先の出来事、これは初めての経験でした。
 最初は訴えの内容が把握できなかったのですが、「こういう内容なら申し込みをしなかった」というのです。よくお聞きすると「片方の足は膝から下を失っているので、足裏感覚から・・・という内容では参加しようがない」とおっしゃるのです。しかし、講師として、開始直前のこの状況では返す言葉もなく「無理をなさらずできることだけ行ってみてください」と声をかけるのが精いっぱいでした。


 間もなく実技を多く取り入れた授業が始まりましたが、その方のことが気になって仕方ありませんでした。皆さんが体を動かしているタイミングをみて「イスに座っている時は坐骨が足裏になりますよ」「寝ている時は背中全体が足裏です」「体全体のつながりを意識しがら動いて」などと、何度かその方の近くに行き、囁きました。 
90分を終えると、その方が私の方へ近づいてくるのがわかりましたが、私の前には数名の方が質問のために並んでいたため、話しかけるのをあきらめたようでした。
 その後、授業を支援して下さった先生から「その方は感謝の気持ちを伝えたかったようです」と聞かされました。ご自身でも重要な気づきがあったようです。
 「良かった」と思いました。同時に、感覚をベースに動作を再構築していくメソッドに、あらたな可能性を感じました。それは私にとっても、貴重な学びでした。

2013年10月6日日曜日

やる気を育てるスポーツ指導(13.10.06)


 それは確か1985年だったでしょうか。五輪金メダリストを育成した競泳コーチを世界中から招聘し、北の丸公園にある科学技術館を会場にした“世界競泳コーチ会議”が3日連続で開催されました。
 私も会場にいたのですが、当時は、まだそれほど知られていなかった“ラクテートアナライザー(乳酸測定器/YSI製)”とIHIと共同開発した“スイムミル”のデモンストレーターとして参加していたため、残念ながらトップコーチたちのプレゼンは全く聴くことができませんでした。 その代り、デモ現場に足を止めてくれた世界の著名コーチと直接話をするという貴重な経験をすることができました。
 その中の一人と交わした内容を今も鮮明に覚えています。彼は、ソウル五輪までの4年契約で米国から日本の某強豪クラブへ招かれた競泳コーチでした。
 「日本に来たとき、怒鳴ったり、叩いたりという選手の指導現場を見て驚きました。そんな指導法をとるならば自分は米国へ帰る」と強く抗議し、指導法を改めさせたというのです。
 「では、あなたはどんな指導をするのですか?」と訊くと、「たとえば」と前置きしながら、こんな話を聞かせてくれました。
 「選手たちは皆頑張っているけど、調子が上がらないとき、“これから練習内容を変えるので、みんなプールサイドに上がりなさい”と声をかけます」
 「“みんなはスタートが下手なので、これからスタートの練習をします”と伝え、技術解説をしながらジーパンにポロシャツ姿のままプールへ飛び込込みます。すると大きな歓声が上がります」
 「“さあ、メニューに戻るぞ”と声をかけ、練習を再開すると雰囲気が変わり皆の調子が上がっていきます」
 「そんなことよくやるのですか?」と尋ねると、笑いながら「こんなこと2回やったら面白くないでしょう」と答えました。

 “やる気を育てる指導法”については、ある程度は知っていましたが、米国コーチの指導者マインドに触れたのは、この時が初めてでした。
 このような育成法を大事にする指導者の下では体罰・暴力問題が生じることもないでしょう。 

2013年8月29日木曜日

足裏感覚から動きを創る(13.08.29)


 ヒザや腰に慢性的な痛みや違和感を抱える人にとって、椅子の立ち座り、床へのしゃがみ込み、中腰姿勢などは、できればやりたくない不快な動作なのではないでしょうか。
 腰部のスタビリティを高めることも効果的ですが、体の使い方そのものを見直すことも大切です。体の使い方はその場で変えることもできます。身体操作が変われば、即、ヒザや腰への負担感も和らぎます。さらに、それを習慣動作にしていくことで日常動作が楽になってきます。動作が楽になれば積極的なトレーニングへと進むことも容易になるでしょう。
 立位からのヒザ曲げ動作は、ヒザ関節だけが曲がることはまずありません。通常は足首とヒザと股関節が連動して曲がります。これらの関節のバランスの良い連動が、とても重要です。

 直立姿勢で足裏に意識を向け、爪先側に体重を乗せていくと、ふくらはぎや背筋など体の背面が緊張します。逆に踵側に体重を乗せていくと、太ももの前や腹筋など、体の前面が緊張します。さらに右足に体重を乗せると右のお尻や左の背筋の緊張が強くなることがわかります。足裏にかかる重さのバランスが偏ることで局所の緊張が高まるということです。
 左右均等で足裏全体にフラットに重さが乗るような感じにすると楽に立つことができます。

 例えば、コンセントを抜くような「前かがみの中腰動作」をすると、足裏の爪先側に体重がかかりやすくなります。ところが、足裏に意識を向け、フラットな接地感覚を維持しながらヒザを曲げていくと、「足首・ヒザ・股関節」が協調するようにバランスよく曲がります。局所への負担も軽減され、楽に動作することができます。
 さらに動作中、腹部に少し意識を向けることで動作が安定してきます。
 足裏感覚から様々な身体操作、身体技法の展開へと、その可能性が広がります。

2013年7月30日火曜日

私を呼びとめたのは病院長だった(13.07.30)


 某ロータリークラブから声がかかり、テーブルスピーチをしたときのことです。健康なカラダづくりをテーマに話したのですが、現代医療や病院で行われている治療に対する批判もたっぷり盛り込みました。
 食事を頂き、会場を出たところで、後ろから呼び止められました。振り向くと初老の男性が立っています。○○ですといって差し出された名刺を見ると「○○病院 院長」の肩書。

 「わっ!きついことを言い過ぎたか。クレームに違いない。ロータリークラブに医者がいてもおかしくない。出席者を確認しておけばよかった・・・・」という思いが瞬間的に頭を巡りました。
 どうやってこの場を凌ごうかと思ったその時、「とても面白かった!」という意外な言葉が返ってきたのです。テーブルスピーチでは末梢循環と病気予防の話をしたのですが、最近、病院で購入したという末梢循環測定器を用いた診断法についてアドバイスをして欲しいというのです。


 リクエストに応じ、後日、病院の定休日に訪問し、1時間半ほど、院長にレクチャーしました。不思議な光景でした。 
加速度脈波については、労働科学研究所所長(当時)の故小山内博先生に師事し学び、その時は、既に15年間以上、健康づくり相談のツールとして使用していた経験がありました。

 院長に不遜な態度などは微塵もありません。謙虚な姿勢で私の話を聞いてくれました。一通りの説明が終わり、雑談していると今度は、「実は、私は膝が痛いんです」と訴えてきました。私の行っている膝痛者へのアプローチを体験したいというのです。そこで、院長をベッドに寝かせデモンストレーションを行うという奇妙な展開になりました。
 10年前にあった本当の話です。
 こんなお医者さんもいるのですね。

2013年6月26日水曜日

うつ病患者の突然の変化(13.06.26)

 以前、独立行政法人の総合病院から、ある「うつ病患者」の体力テストをして欲しいとの依頼を受けたことがあります。「慢性疲労感がとれないのは、体力が極端に低下していることが関係しているかもしれないので、その患者の体力をチェックして欲しい」というのです。
 30代前半のその男性は、自分でクルマを運転し2時間もかけてやって来ました。とても険しい顔をしていたので、少しリラックスしてもらおうと、趣味だという釣りのことなど、何気ない会話を交わしました。しかし、重たい空気は変わらず、緊張感のある硬い表情が解けることはありませんでした。


 そして様子をみる中で何よりも気になったことは、彼の体から独特の緊張感が感じられたことです。それは、まるで心の様子を映し出しているかのような体のこわばり感とでもいうべきものです。
 体力側定の結果は、柔軟性が劣っていたわけではなく、心肺持久力も筋力系も平均的なものでした。


 測定終了後、カウンセリングルームに移動し、一対一になって体のほぐしを試みることにしました。これは医師に依頼されたプログラムではなく、あくまでも私自身の強い好奇心から行ったものです。「ほぐし」といってもマッサージのようなものではなく、操体法と呼ばれる身体バランスの回復メソッドを試みました。

 かけた時間は20分ほどでしたが、驚きました。彼の顔が別人のように変わってしまったのです。険しい表情はなくなり、口調も滑らかになりました。一動作が終わるたびに「気持ちいい」と口にし、終了後は「縛られていた体が解放されたような気分だ」と興奮気味に語りました。もちろん、もう重苦しい空気などはありません。

 心身一如という知識はもっていたものの、体を快適に導くアプローチで、短時間で心がこんなに変化するという事実を目の当たりにしたその時は、本当に驚きました。

 ストレスに晒されている多くの現代人の体も、やはり不快感という縛りから解放されたいと願っているのかも知れません。

2013年5月23日木曜日

TDLウォーキング(13.05.23)

 ディズニーランド(TDL)に「健康増進ウォーキングマップ」があることを最近知りました。以前から「ウォーキングを目的にここへ行く人はいないだろうけど、入場者は、かなり歩いているはず。誰もそれを意識していないが、結果として相当な運動量をこなしている。つまり、TDLは歩かせる仕組みでもある」と口にしていたことがあります。

 ではTDLでは、実際どのくらい歩くのか、統計資料は見つかりませんでしたが、ネットで検索した範囲での最高歩数は4万歩超。1万5千~2万歩くらい歩く人が多いようです。やはり、かなり歩いています。


 健康ウォーキングマップには、ウォーキングの運動効果、服装、水分補給などの説明があり、アトラクション間の歩数、水飲み場、パラソル・ベンチ、救護室、ロッカーの案内などが記載されています。 
こうなると、ここは最高のウォーキング環境といえるのかもしれません。マップには「パーク内のウォーキング大会を企画してみませんか」の呼び掛けもあります。

 もしかすると以前からウォーキングも目的にしながらパークを楽しんでいた人もいたのかもしれません。TDLは新たな価値訴求としてパーク内健康ウォーキングを提唱しています。

 TDLは健康増進施設でもあることを改めて認識しました。