2019年9月18日水曜日

♫ 何のために生まれて

昨年暮に出した近況メールに返信が届いた。
かつての同僚からだ。「お疲れ様」と労いの言葉が並んでいたが、
末尾のフレーズに目が止まった。
「最近生きる目的や理由を考えているけれど、未だに答えが見つからない」と。

このメールをみて、遠い昔のシーンが頭をよぎった。

20代の頃、2年ほど仙台で勤務していた。休みを利用して東京の実家に帰った時のこと。
トイレに入ったら、「えー?」と声を出したくなるような絵が飾ってあったからだ。
それは中年夫婦の住まいにはあまりにも不釣り合いなアンパンマンの絵。
「何あれ、どうしたの?」と私。

理由がわかった。
雑誌の企画で作者の やなせたかし氏と対談し、プレゼントされたものだった。当時、天然酵母パンづくりの普及に精魂を注いでいた母に「正義のパン」をテーマに声がかかったという。
やなせ氏を熱く語る母の姿を鮮明に憶えている。しかし、今考えると、あれほど人の好き嫌いが激しかった母がナゼ熱くなったのかと思う。きっと、よほどの魅力を感じたのだろう。


アンパンマンにはあまり興味がなかったが、何年も経ったある日、娘達が夢中でみている
アニメから響いてくるそのテーマソングが耳に飛び込んできた。
子どものアニソンにこの歌詞?

♬ 何のために生まれて、何をして生きるのか 答えられないなんて、そんなのはいやだ ♬

子ども番組には相応しくない歌詞と指摘する制作側と対立。
その経緯が,新聞で紹介されたことがあるが、どうしても自分の哲学を込めたいという
 やなせ氏の思いが通ったという。

シンプルな言葉は伝わりやすい。

生きる目的?

それを考え続けるのが人生、と語った人もいるが、考えても簡単に答えは出ない。
重いテーマだが、正面から受け止めなければならない。

歌詞のキーフレーズは、

 「今を生きる」
 「生きるよろこび」
 「何が君のしあわせ?」

だろうか。

心を揺らす詩は続く

♬ 時は早くすぎる   光る星は消える   だから君は行くんだ ほほえんで ♬   と。

やなせ氏を熱く語る母の話を聞き流していた私は、悲しいかな、その内容を何も憶えていない。
もし存命であれば、どこに共感したのか、今度こそ耳をそばだて、その時のことを聴きたい。
心からそう思う。

2 件のコメント:

  1. なるほど、「意味深」ですね。私は、「子供扱い」と「年寄り扱い」の類似性を想像しました。つまり「何が君のしあわせ?」とか。

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  2. 確かこの歌詞はやなせ氏が書かれているんですよね。アンパンマンもやなせ氏の戦争体験でのひもじさから生まれたと聞いたことがあります(困っている子にパンを分け与えるところ)。この歌詞も戦争という極限状態を経験したやなせ氏の強い人生観・哲学を感じます。

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